悲しきモンブラン
tcho5397さん(id:tcho5397)のブログに、こういう文章があった。
幼稚園の時にケーキにまつわる出来事があって、
それは長らくトラウマだった
それを読んで、ある出来事を思い出した。確か私が小学校一年生か二年生の頃だ。
母、兄、妹と一緒に外食に行き、夕食を済ませた後にデザートを頼むことになった。
デザートなんていう洒落た習慣は我が家にはなかったのに、どうしてそのような流れになったのか不思議ではある。レストラン側から勧められたのかもしれない。
ともかく、そこで私はモンブラン・ケーキを頼んだ。
そして食べている途中か、食べ終わった直後かに盛大に嘔吐した。
嘔吐の原因は分からないが、テーブルや床にさっき食べたばかりの夕食とモンブランを洗いざらいぶちまけてしまった時のショックは大きかった。
子供の胃のサイズを考えると、吐しゃ物だってそんなに大した量でもないだろうが、私の記憶ではそれは絢爛たる嘔吐ショーで、映画『スタンド・バイ・ミー』のパイ大食いコンテストのシーンさながらに、ジェット噴流の吐しゃ物でもって盛大にレストランを汚し、周囲を、そして私を戦慄させた。
どうやって後始末したのかは全く記憶にない。しかし、帰りの車の中で母親に責められた事はぼんやり覚えている。私だって吐きたくて吐いたわけではないので、それはフェアな事ではないが、息子がレストランを汚したことにいたたまれなくなり、せっかくの外食が台無しになったことに落胆し、感情的になっていたのだろう。
そしてそれ以来、私はモンブランを頼むことが無くなってしまった。
もちろん、食べることはできる。そして、食べてみれば美味しいとさえ思う。
でも、モンブランが私のお気に入りになることはもうないだろう。
ところで、コメント欄で明らかにされたtcho5397さんのケーキにまつわる出来事とは、このようなものであった。
幼稚園の卒園式で出されたイチゴのショートケーキを帰って家で食べようと思ったら、途中橋の上で突風にあおられて川に落としてしまいました。以来大人になるまでケーキは、食べなかったですね〜。
きっとtcho5397少年はしくしく泣きながら家に帰ったんだろうな。大人の目から見ると、悲しいけど、ありふれた出来事ではある。でも、大人になるまでケーキを食べなかったくらいだから、本人にとってはよほど悲しい出来事であったに違いない。
旅先にて昔懐かしい味のイチゴのショートケーキを食べて、そのトラウマから救われた気分になったとtcho5397さんは書いていて、他人事ながら嬉しい気持ちになった。
そして、私も今度ケーキを買う機会があれば、モンブランを頼んでみようかなという気になった。
初夏の日の怪奇現象
5月にもなって寒いと皆でぶつぶつ文句を言ってたら、民意が反映されたのか急に夏っぽくなった。散歩のあぜ道も、お昼ごろには結構暑くなった。
散歩に連れてけとせがんでいた愛犬モナも、途中から「今日はこれくらいにしといたるわ」というノリになったので、早々に帰宅。そろそろ毛を刈ってやらねば。
日差しが強くて、街路樹の影も濃い。
なんだかニコニコしてしまう。
嬉々としてタンスからポロシャツを出す。いぇー。
古いジーンズがいくつかタンスの隅に積んであるので、ついでに引っ張り出してみる。しかし奇怪な事にすべてのジーンズが縮んでいるではないか。特に腹回り。
とても着られたものではない。
はて、物の怪にでも憑かれたかと訝しみ、お祓いのために処分することにした。
ドイツには古着や古い靴を回収するコンテナがところどころに置いてある。そこに私の古ジーンズを投げ込み、なまねこなまねこと念仏を唱える。
これで私の古ジーンズも誰かの役に立ってくれるだろう。
選挙ポスターの犬
私が住む街で市議会選挙が近々あり、候補者のポスターがあちこち貼られているが、その中でも異彩を放つのがこのポスター。
ついに犬が立候補する日が来たか。ドイツは革新的だなあ。
なんてわけは当然なくて、候補者の飼い犬がポスターに載っているのだ。
写真の下には
僕の飼い主
(候補者名)
あなたの市議会候補
とある。
果たして候補者の意図するところは何か。
- ユニークなポスターで話題作り
- ハナから選挙を捨てているのでシャレでやってみた
- 飼い犬への愛が溢れてしまった
- お前ら選挙人はワシの飼い犬も同然じゃ、フハハハハ
有力なのは1か2あたりか。
さて候補者はどんな人だろうと思ってネットで調べてみると、なんと犬の散歩のときに時々顔を合わせるおじさんだった。今度あったら意図を訊いてみよう。
ドイツに居てありがたいのは、うるさい街頭演説とか選挙カーがない事。あれで効果はあるのか本当に疑問で、ひときわうるさい候補者を見るにつけ「お前にだけは絶対いれん」と日本に居た頃は思っていた。ネットでの選挙活動が主軸になれば、ああいうのは下火になると思うけど、時間はかかりそうですね。
ハンスに捧ぐエイリアン
H.R.ギーガー氏がお亡くなりになったとの事。合掌。
イニシャルのHはハンスだったんですね。知らなかった。
ああ、エイリアンの造形は凄かったなあとしみじみ思い返し、パワポで描いてみたら、ソール・バス風になってしまいました。でも気に入ったので上げておきます。
映画『エイリアン』でもう一つ衝撃を受けたものは、シガニー・ウィーバーの履いていたパンツなんですが、これはギーガー氏のデザインでは無いと思われます。
駄菓子の追憶
先日沖縄に帰省した時の事を書いたが、沖縄を離れる直前に、これを持ってけと兄貴が土産をくれた。それは食料品やお菓子だったのだが、その中に干し梅が入っていて懐かしさにニヤリとした。うむ、さすが兄貴。分かってる。
干し梅とは梅干しをさらに乾燥させた駄菓子で、今はスッパイマンという商品名で売られているが、私が子供の頃は「乾燥梅干し」とか単に「梅干し」と呼ばれていた。
当時の駄菓子の定番だったのだ。
食べ終えた後には、残った種をかちわって、種の中の仁まで食べたりしていた。いやしさゆえ、というよりも、かちわるという行為が楽しかったのだと思う。
それが少年というものだ。
「仁を食べると死ぬよ」と誰かに脅されるまではそうしていた。
Wikipediaを見ると、仁を多量に食べると死に至る可能性がある、とちゃんと書いてある。多量に食べなくてよかった。いくつからが「多量」なのかは知らないけど。
もちろん干し梅以外にも色んな駄菓子を食べた。
チロルチョコ、さくらんぼ餅、ベビースターラーメン、得体の知れないヨーグルトもどき、ビッグカツ、なんとかイカ、むぎチョコ、フィリックス・ガム、カレーせんべい、などなど。
我が輝かしき駄菓子ライフよ!
沖縄ローカルの駄菓子だと思うが、一枚10円の塩せんべいも定番の一つだった。
お金がある時には一袋10円のチョコレートソースを塗って食べるのだ。
チョコソースを塩せんべい2枚で挟む奴は、ちょっとしたお大尽様だった。
あとは脳みそせんべいか。
脳みそせんべい。
今考えると、結構なインパクトだ。
当時の子供たちは、レクター博士よろしく嬉々として脳みそ(せんべい)をガリガリと齧ってはにんまりとしていたのだ。
それはエビ風味のポン菓子せんべいで、色といい、しわと言い、脳みそに似ているからそう呼ばれていただけの話なのだが。
ああ、子供の頃に食べた駄菓子は美味しかったな、と懐かしむようなおじさんにとって、駄菓子はもはや手に取るべきものではない。きっと失望が待っているから。
駄菓子との美しい思い出はそっと心の中にしまっておくべきなのだ...
なんて、カッコよく締めたかったが、もらった干し梅を一人で全部食べつくしてしまった私なのであった。
美味しいんだから、ホント。
あぜ道散歩
このところ寒い。
かなり、寒い。
天気予報によると今日の予想最低気温2度、予想最高気温14度だと。
5月だと言うのに昨夜は暖房を入れてしまった。恐るべし、ドイツ。
そんな中も愛犬モナを連れて(と言うかモナに連れられて)せっせと朝の散歩。
幸いにして天気は良いので、今日はあぜ道コース。
朝9時で気温は7度くらい。厚着していればまあ大丈夫。
ふと気づけば畑にはしっかり畝が立っていた。
フィルタかけすぎてきつい色になってしまったけど、まあいいか。
畑の麦はすくすく成長中。
美味しいパンになるんだよ。
たんぽぽは驚くべき繁殖力を誇示している。ここもあそこもたんぽぽだらけ。
いつか人類はたんぽぽに侵略されるかもしれない。『トリフィドの日』みたいに。
そろそろ夏に向けて毛を刈らなくては、と思っていたが、はやまらなくて良かった。
寒さに強いこのお方でも、さすがに毛が短いと辛かろう。
モコモコと散歩を楽しむモナであった。
早く暖かくなあれ。