青い西瓜の日々

軸なきブログ

寝癖

社会人になって初めての上司はTさんという方でした。歳のころは40前後。
Tさんはあまりぱっとしない風采で、ときどき周りにいじられるタイプではありましたが、人望がありました。
ポジティブさとユーモアを常に忘れず、飄々としたところがありました。
私はとても可愛がってもらったし、仕事の取り組み方についても彼から多くを学びました。

そのTさんを特徴づけるものが寝癖だったのです。ほぼ毎日寝癖とともに出社するのです。
それが結構おもしろくて、Tさんの隠れファンを自認していたある女子社員と一緒に、「今日の寝癖」について観察結果を語り合ったりしたものです。

当時20代前半の私にとっては、寝癖をつけて人前に出るなんてちょっと考えられないことでした。
思春期ほどでは無いにしても、自意識も羞恥心もそれなりに持ち合わせている頃です。
まあ、簡単に言えば色気づいてるし、女の子の前で寝癖を晒すなんてイヤじゃないですか。
だからTさんがなぜ寝癖をつけたまま出社できるのか謎だったわけです。

しかし、名実共におじさんになった今なら判る。
Tさん。あなたはこの高みから物事を見ていたのですね!

歳を取ると多かれ少なかれ自意識や羞恥心はトーンダウンしていきます。
さすがにフォーマルな場ではそれなりに身だしなみに気を使いますよ。
でも、ちょっとそこらに散歩や買い物に行くくらいなら、寝癖くらい全然OKという境地にいつの間にか達していました。
こうなると何かと楽ですね。おじさん万歳。

しかし、寝癖による羞恥心の克服なんて単なるマイルストーンの一つに過ぎません。
世の中には、女の子にくだらない下ネタを振ってガハハと笑えるような、いわば解脱した人々がいます。
そのような境地にたどり着くのにはあと数年はかかるような気がしますが、日々精進しおじさん道を極めようと思います。