青い西瓜の日々

軸なきブログ

Yours Truly, 2095: ELO ~ IBM製の彼女

1981年のE.L.O.のアルバム「Time」の3曲目。

 

 

 
ELO - Yours Truly, 2095 - YouTube

 

当時中学生の私は、友人から借りたこのアルバムにはまってしまいました。特に冒頭の「プロローグ」から「トワイライト」の流れはカッコよくて、今聴いてもしびれます。(ユーミンはアルバム「リインカーネーション」で真似てた。)

 

その後に続く「Yours Truly, 2095」(邦題はロストワールド2095)は、かなりSFチックで、このアルバムの全体的なカラーを決定している重要な曲です。当時は曲中のシンセやらボコーダーやらだけで単純に「ああ、未来的」と感じていたわけですが、歌詞を見てみるとやっぱりSF。

 

Yours Trulyというのは手紙の結びの言葉で、歌の内容は、2095年にタイムスリップしたと思しき主人公が現代に残した恋人に宛てた手紙という体裁をとっているようです。面白いので訳してみました。意訳はもとより誤訳もあるかもしれませんが、雰囲気は掴めるかと。

 

IBM製の彼女というのは石の心(半導体という事でしょうね。)を持つ機械なのに嫉妬を示したり、最新鋭なのにメモリーオーバーフローしたり、電話機だったり(まさにスマートフォン!)と突っ込みどころはありますが、80年代初頭の暗い未来観を、インターフェイスとかメモリーバンク等のそれらしい用語をまぶして歌詞にしたらこうなった、という感じでしょうか。

 

しかし今ならIBM製なんて例えはないでしょうね。

うーん、Google製?  アンドロイドだしね。

 

 

Yours Truly, 2095  対訳、和訳、超訳

 

もう一つの時に向けてメッセージを送ったんだ。

しかしその日々はほどけていく。信じられないことに。

次元を超えてメモを送ったんだ。

これはただのゲームかもしれない。でもそうは思えないんだ。

僕の声は聞こえるかい?

 

最新のホバーカーで君を探した。

君が恋しかった、君によく似た彼女に会うまでは。

彼女は君そっくりに振る舞う。

でも彼女はIBM製なんだ。

 

彼女はとても魅力的にプログラムされている。

でも氷のように冷たいんだ。

近寄れば、僕が好きだと言ってくれる。

でも彼女に触れる度に、機械である事を思い知らされるんだ。

 

彼女は最新のテクノロジー

それはほとんど神話(ミソロジー)の域。

でも彼女の心は石で出来ている。

彼女はIQ1001。ジャンプスーツを着て、電話機でもあるんだ。

 

時が再構成される事の奇妙さに僕は気づく。

しかし時が運命を決めるのだ。

彼女は僕の心を読み、君のことを想っていることを知る。

そして僕に辛くあたる。

彼女は僕らの世界について何も知らない。

 

彼女のメモリーバンクはオーバーフローしているが、

それに気づくものは誰もいない。

彼女はただこう繰り返す。

「コレガ、アナタノノゾムコトナノ?」

いつか、彼女の冷たい抱擁を感じ、

 

彼女のインターフェイスにくちづける時がくるかもしれない。

彼女のもとを離れるまで。

                                               愛をこめて…

 

原詩

I sent a message to another time 

But as the days unwind, this I just can't believe 

I sent a note across another plane 

Maybe it's all a game, but this I just can't conceive. 

Can you hear me? 

 

I drive the very latest hovercar 

I don't know where you are 

But I miss you so much till then 

I met someone who looks a lot like you 

She does the things you do 

But she is an IBM.

 

She's only programmed to be very nice 

But she's as cold as ice 

Whenever I get too near 

She tells me that she likes me very much 

But when I try to touch 

She makes it all too clear. 

 

She is the latest in technology 

Almost mythology 

But she has a heart stone 

She has an I.Q. of 1001 

She has a jumpsuit on 

And she's also a telephone. 

 

Is that what you want? (Is it what you want?) 

Is it what you really want? (Is it what you really want?) 

Is that what you want? (Is it what you want?) 

Is it what you really want? 

 

I realize that it must seem so strange 

That time has rearranged 

But time has the final word 

She knows I think of you, she reads my mind 

She tries to be unkind 

She knows nothing of our world 

 

Although her memory banks overflow 

No one would ever know 

For all she says: 'Is that what you want?' 

Maybe one day I'll feel her cold embrace 

And kiss her interface 

'Til then, I'll leave her alone. 

I love you, sincerely 

Yours truly, yours truly...

 

*旧ブログ「西瓜男だよ」からの再投稿記事です。