嵐の夜/さらばクルミの木
急に暑くなると嵐が来る。
この数日は気温30度前後の好天が続いていたので、そろそろ来るかと思っていたら、それは昨晩やってきた。
昨日は友人一家を招いてバーベキューを楽しんだのだが、彼らを玄関まで送ると西の空には凶暴に黒くて巨大な雲があった。それは速足でこちらにやってきて、私の住む小さな町をたちまちのうちに暴風雨で包んだ。
今回の嵐は風が凄まじく、家の周りの木々は狂ったように揺れた。重いものが飛んできて窓ガラスが破れたりしないかと心配になり、あわててシャッターを下ろす。
小一時間ほどでびゅうびゅうという風の音はやんだ。
シャッターを上げ庭に出てみると、西の空がかすかに明るい。そして庭の眺めはいつもと違っている。なぜかというとお隣さんのクルミの大木が消え失せているからだ。
もちろん本当に消え失せたわけではなくて、その大木は強風で根こそぎ横倒しになり視界から消えていたのであった。幸いにして、別のお隣さんの庭に倒れこみ、特に家屋や人の被害は無いようだ。倒れる方向が悪ければ、こちらの家の屋根や壁が壊されていたに違いない。なにせ15メートルはあろう大木なのだ。
この大木は夏には私たちの庭に木陰を、秋には沢山のクルミをもたらした。
クルミ仮面も、この木から生まれたものだ。
しかし同時に、この大木のために私たちの林檎の木は夏でも陽光を存分に浴びることができず、秋には山ほど落ちてくる枯葉に我々は煩わされた。だから、惜しむ気持ち半分、喜ぶ気持ち半分と言ったところ。新しい眺めにもすぐ慣れるだろう。
さらばクルミの木よ。
これは今朝撮った、倒れたクルミの木。
大きくてとてもカメラに入りきらない。
ところで嵐が去った後、朝の3時か4時ごろにも時々強い雨が降り、雷が鳴った。うちの愛犬モナはそれにおびえたのか階下で吠えた。
しょうがなく私は二階の寝室から、モナが居る一階の居間に降りて、そこのソファで横になることにした。
するとモナはすかさず私の横にぴったりと添い寝してきた。普段そんな事はしないので、よっぽど心細かったのだろう。愛い奴め。
モナの寝息を耳元で聞き、湿った鼻息を首筋に感じる。それ自体は悪い気はしなかったが、結局寝つけなかった。それで寝るのをあきらめてブログを書くことにした。
モナはまだソファの上でぐうぐう寝ている。