レイティングと7人の吸血鬼
私が子供の頃は日本では映画のレイティング(年齢制限)というのは18禁くらいなもんだったと思うのですが、最近は整備されているようですね。
ドイツでもFSK(Freiwillige Selbstkontrolle der Filmwirtschaft)という組織がレイティングを行っていて、私も子供達と映画を見るときにはある程度参考にしています。
Wikipediaから日本とドイツのレイティングだけを抜き出すとこんな感じ。
日本と比べると「6歳以上」という年齢枠が一つ多めに設定されています。
性的、暴力的、残虐的表現で規定されるわけですが、日本と比べると暴力的表現に関して厳しいという感じです。
例としてはちょっと古いですが、大友克洋原作の映画「Akira」はドイツではFSK ab 16,つまり16歳以上。日本人の私の感覚からするとちょっと厳しすぎますが、安全サイドに設定するのが無難という事からそうなっているのかもしれません。
まあ、この手の年齢制限というのは難しいですよね。子供の成熟度にもばらつきはあるので、一律何歳からという規定は完璧に機能するわけがない。
かと言って、私はレイティングが無用のものと思っているわけではありません。盲信しているわけでもありませんが、参考にはしています。
ウチの子供達はどちらも12歳以下なので、DVDにFSK ab 12(12歳以上)という制限があれば、私もしくは妻が観てOKと判断したら子供達にも観せるようにしています。(時々OK/NGの意見の相違はあるけど。)
この手のレイティングを、現実に存在する性・暴力・残虐さを子供から過剰に遠ざけるもの、と考える人もいるようですが、やっぱり年齢に応じた表現というのはあると思うんですよ。
例えばホラー映画。大人になると大体の映画を観てもそう怖くないし(怖ければ名作です)、ゴアなスプラッターシーンがあったって、所詮は映画、所詮はフィクションだというのも理解している。
でも子供はそうじゃない無い。大人が考えているよりも強くショックを受けたりします。スティーブン・キングの「IT」なんて小さな子どもに見せたらピエロ恐怖症になること請け合いですよ。
私が幼稚園か小学校一年生くらいの頃に、親と連れ立って「ドラゴン vs 7人の吸血鬼」を見に行きました。後日知ることになるのですが、B級ホラーで有名なハマー・フィルムが、ドラゴン人気に便乗して作ったホラー・カンフー映画です。もし今観るとしたら、鼻で笑う程度のものだと思うのですが、当時の私は震え上がりました。
生贄の女性たちが並べられて生き血を抜かれるシーンは脳裏に刻み込まれましたよ。トラウマとまでは言わなくとも、準トラウマ的な体験ではありました。親にしてみれば、何が怖いの?って感じだったんでしょうけど。
性・暴力表現をシャットアウトするのもナンセンスだし、別の歪を生む可能性もあるでしょうから、ある程度の年齢になるまでは親が子供の成熟度を見ながら何を観せるかコントロールしていくしかないでしょうね。
14-15歳にもなれば半分大人で、どうせ親の管理は効かなくなるだろうからそれくらいまでかな。それくらいの歳にもなれば、虚構と現実の違いもしっかり出来るようになっているだろうし。
ちなみに「ドラゴン vs 7人の吸血鬼」に震え上がった私も中学生の頃には「死霊のはらわた」を見ながら笑えるくらいには成長しましたよ。(ああいうの撮らせたらサム・ライミ監督は上手いね。「スペル(Drag Me To Hell)」も怖くて笑える良い映画でした。)