青い西瓜の日々

軸なきブログ

無くす男/手袋を買いに

日本に住んでいた頃は、よく傘をどこかに置き忘れたものです。
ドイツに来てからは傘を持ち歩かなくなったので、傘を無くすことも減りました。小雨なら濡れてまいろう、というのがドイツ人で、「ドイツにおいてはドイツ人のように振舞え」ですからね。

しかし、ドイツでは靴を無くしてしまったことがあります。
さすがに履いている最中に靴を無くしたわけではなく、出張の際にカジュアル用に持っていった靴を無くしてしまったわけです。
それも買ってすぐの新しい靴を。あれは痛恨でした。
どこで無くしたかさっぱり判らないんですよ。スーツケースに入れていたはずなのに...
ホテルに置き忘れたかと思って電話したのですが「ありません」とつれない答え。どうやったらスーツケースの中の靴を無くせるのかと妻から呆れられたのですが、どうやったのか自分でもさっぱり判りません。
ある種の才能でしょうか。

しばらくはモノを無くす事もなく平穏な日々を送っていたのですが、つい先日手袋を無くしてしまいました。これまたどこに忘れたかさっぱり判らないわけですよ。まあ、判ってたら回収できるので苦労はないんですけど。割と気に入っていた革の手袋だったので、これまた痛恨です。
いま手袋買ってももう使わないかなー、なんて思いつつもまだちょっと寒かったりします。買おうかな、どうしよかな、なんてまだ悩んでいるんですが、そのうち春がやってきそうです。

で、手袋で悩んでいるうちにふと思い出したのが「手袋を買いに」。
狐の子供が街に手袋を買いに行く話です。
子供の頃読んだ記憶があるんですが、小学校の教科書で読んだのか、絵本で読んだのか思い出せません。ネットで探してみたら、青空文庫にありました。ありがたや。

青空文庫 新美南吉「手袋を買いに」

うっかり狐の手を出してしまう子狐。それでも、きちんと手袋を売ってあげる帽子屋さん。

なごみます。

最後の「ほんとうに人間はいいものかしら。」という母狐のつぶやきは、今読むといろいろと意味ありげで、作品に余韻を残しています。子供の頃は読み飛ばしてたようで、記憶にありませんでした。

この本をふたたび読むことが出来たのも、手袋を無くしたおかげ。
いやー、無くして良かった...うん...(涙)